ニューヨーク州の金融サービス局(NYDFS)がZcash(ジーキャッシュ)を認可

ニューヨーク州の金融サービス局(NYDFS)がZcash(ジーキャッシュ)を認可

アメリカ大手の仮想通貨取引所Gemini(ジェミニ)は、ニューヨーク州の金融サービス局(NYDFS)の認可を得て、ライセンス(BitLicense)を持った取引所としては初めてZcash(ジーキャッシュ)を扱う事業者となりました。

米ニューヨーク州で仮想通貨事業を行う為には、NYDFSが定めるルールをクリアした事業者に与えられるBit Licenseが必要で、サイバーセキュリティに対応した資産管理や、運営に反マネーロンダリングなどの危険性がないと認められた事業者にのみBit Licenseが発行されます。

プライバシー通貨ともいわれ、匿名性が高いZcash(ジーキャッシュ)のような仮想通貨は、日本の金融庁では取り扱いを許可しない方針が明確です。

Zcash(ジーキャッシュ)認可の背景

最近はgoogleやfacebookなどで仮想通貨関連の広告が禁止になるなど、世界的に仮想通貨の関連企業には厳しい規制がかかっております。

特に仮想通貨で資金調達を目的とするICOを扱う広告には詐欺的なものが目立つということもあり、仮想通貨業界全体にとって悪いイメージがあるのですが、一部の悪質な者たちの為に何でもかんでも必要以上に規制してしまっては、イノベーションの保護という観点から見ても決して好ましいことではありません。

ニューヨーク州金融サービス局のマリア・ビュッロ氏は、仮想通貨に対して次のような見解を述べています。

「仮想通貨は非中央集権のグローバルな通貨の選択肢であり、よりセキュアで質の高い取引媒体として発展する可能性を秘めています。ニューヨーク州は市場のリーダーとイノベーションにコミットしていきます。仮想通貨市場は長期的に成長・繁栄していくでしょう」

今回NYDFSがZcash(ジーキャッシュ)の取り扱いを認めた背景には、仮想通貨という革新的なイノベーションの可能性をポジティブに捉える、こうした見解が反映されたといってもいいでしょう。

仮想通貨に関しては、今後も世界各地で様々な規制が検討されていくと思われます。しかし革新的なイノベーションを阻害してしまわないように、規制とイノベーションのバランスを考慮した判断が何よりだといえます。

仮想通貨業界にとってこのニュースは大きな発展に繋がる可能性があり、Zcash(ジーキャッシュ)の価格も高騰しています。

ちなみにGemini(ジェミニ)のCEOであるタイラー・ウィンクルボス氏は、facebookを巡ってマーク・ザッカーバーグと訴訟を繰り広げた、あの双子のウィンクルボス兄弟です(ジェミニは双子の兄弟という意味)。映画「ソーシャル・ネットワーク」ではマーク・ザッカーバーグの敵役として描かれていましたね。

Gemini(ジェミニ)では5月19日からZcash(ジーキャッシュ)の入金受付を始めるようで、取引は22日から開始されるようです。Zcash(ジーキャッシュ)の他にも、ライトコイン(LTC)とビットコインキャッシュ(BCH)の取り扱いについても許可を得ているとアナウンスされています。

JPモルガンも取り入れたZcash(ジーキャッシュ)の暗号技術

世界的なメガバンクとして知られるJPモルガンは、イーサリアムをベースにしたQuorum(クオラム)というブロックチェーンの開発を行っています。このQuorumにZcashの暗号技術であるZ-SNARKという『ゼロ知識証明』の技術を取り入れ、プライバシー保護のブロックチェーン取引を可能にするためジーキャッシュと提携しています。

『ゼロ知識証明』の技術を使って暗号化されたブロックチェーンは、送金者と受取者のアドレスを含む取引情報は非公開にして取引することが可能です。したがって取引の履歴を追跡することができません。

簡単にいうと、取引の内容を第三者に明かすことなく、取引の正当性を証明できるのが『ゼロ知識証明』という技術です。

JPモルガンはZcashの暗号技術であるZ-SNARKという『ゼロ知識証明』の技術を“世界最先端の技術”と絶賛しています。

Zcash(ジーキャッシュ)には2種類のアドレスがある

匿名性が特徴の仮想通貨は、Zcashの他にもMonero(モネロ)やDASH(ダッシュ)などがありますが、匿名性を実現するための技術はそれぞれ違います。送金元や送金アドレスなど、一部のデータを秘匿にするMoneroやDASHとは異なり、Zcashは送金アドレスに加えて数量も完全に秘匿化することが可能です。

Zcashは2種類のアドレスがあり、公開アドレスとプライバジーアドレスを使い分けることができます。公開アドレスでの取引データは確認することが可能ですが、プライバシーアドレスでの取引データは非公開となり、どのような送金が行われたかを外部からは一切知ることはできません。

しかしZcashの秘匿トランザクションは、通常の送金にくらべて20倍以上のデータサイズがあるといわれています。データ量が多いということは処理の遅延に繋がり、手数料もその分上乗せされてしまいます。

このためZcashはプライバシーアドレスでの秘匿送金はオプション扱いとなり、公開アドレスでの通常送金も可能です。秘匿送金が可能なZcashですが、ほとんどが公開アドレスでの通常送金が利用されているようです。

そもそも仮想通貨は送金スピードが早く、手数料が安いというメリットがあります。処理の遅延や手数料が高いというデメリットを受け入れてまで、秘匿送金を利用するユーザーはあまりいないということなのかもしれません。

Zcashの開発チームも秘匿送金においてのスピードが現実的な決済には使えないといった認識をもっており、2018年中にもアップデートする予定のようです。

Gemini(ジェミニ)では両方のアドレスからの入金を受け付けるようですが、ユーザーは公開アドレスにのみ出金申請が認められています。プライバシーアドレスへの出金については、今後NYDFSと協議しながら進めていくとしています。

Zcash(ジーキャッシュ)の将来性とEthereum(イーサリアム)との提携

突出した匿名性を武器に、仮想通貨の中でも独自の存在感を示すZcash。2017年の1月、イーサリアムのスマートコントラクトを使ったアプリケーション開発などを行うイーサリアムファンデーションから、イーサリアムとジーキャッシュによる統合プロジェクト「ZOEプロジェクト(Zcash on Ethereum)」が発表されました。

このプロジェクトでは、ネットワーク内におけるトークンの発行や、取引所を介さずジーキャッシュとイーサリアムの交換ができる「アトミックスワップ」や、イーサリアムの代名詞ともいえるスマートコントラクトにジーキャッシュの匿名性を融合させるなど、革新的な機能の拡張を目指しているようです。

イーサリアムのファウンダー、ヴィタリック・ブテリン氏もアドバイザーとして名を連ね、ZOEプロジェクトは大きな期待と注目を集めています。イーサリアムとの提携は、ジーキャッシュの将来性を占う上でも大きなファクターになると思われます。

仮想通貨の世界では革新的な機能を実装していたとしても、必ずしもそれが仮想通貨自体の市場価格に反映されるとは限りません。仮想通貨を保有する目的は人によって様々ですが、ジーキャッシュの技術は様々な用途で応用されることも想定され、ジーキャッシュは大きな可能性を秘めた仮想通貨といえるでしょう。

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